池波正太郎をめざして

読書の栞

日々の読書の記録、感想を書きます。

「男が三十代で止めるべき習慣」適菜収

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男が30代でやめるべき習慣 ~賢者たちの一流の教え

先日、ちょっといた用事で羽田空港に行った。

羽田第二ビルの本屋でこの本に出会った。「男が三十代で止めるべき習慣」というタイトルはいたって凡庸であった。暇つぶしで本を取り、目次を見た。これが非常に良かった。

 


第1章 いますぐやめるべき「自分磨き」skill 

「楽しくない仕事」はやめる

「群れる・つるむ」のはやめる

自己啓発」をやめる

「短いスパンでの判断」をやめる

第2章 言ってはいけない「口ぐせ」talking

「オリジナリティ」と言わない

コスパ」と言わない

「平均」にこだわらない

・・・・・・などなど

 


パラパラと目次をめくってみた文言は自分好みであった。ただ、このときに第3章、第4章は見ていなかった。

 


そこから「はじめに」を時間が許す限り読んだ。

「三十代のうちに、あれをやれ、これをやれと書いてある本がたくさんあります。図書館の検索サイトに「三十代」と打ち込んでみたらこの手の本が山ほどヒットした。(中略)どれも同じ内容です。「三十代は人生計画を見つめ直す時期」とか「キャリアアップのために計画的に勉強しろ」とか「老後に備えて運動しろ」だとか。そういう本は結構売れている。逆に言えば、三十代にもなって、やるべきことがわからず、自己啓発書に手を出すような連中が多いということです」

本当にその通りだ。ここでオルテガの引用が来る。

「過去は、われわれが何をしなければならないかは教えないが、われわれが何を避けねばならないかは教えてくれるのである」

この引用にやられた。オルテガは(四十代になってなさけないが)これから読もうと思っている哲学者? 思想家? で、ちょっと趣味が似ているのかなと思った。

続けて、人生の目標なんて捨ててしまえという話が来る。筆者はプールに通っているのだそうだが、プールは義務ではなく、泳ぎたいから行く。それでいいのではないかと。そういう風に生きないと空っぽの人生を歩むことになる。

 


さて、読んでみての感想だが、この本を読むときには一つコツがある。具体的な場面がいくつも出てくるのだが、その都度自分で「という冗談はさておき」という文言を補いながら読むといいということだ。けっこうブラックジョークが散りばめられている。

寿司屋で共通の友人の悪口を言っていた。結局、その友人が禿げているからだめなのだ、という結論に達する。ぱっと寿司屋の大将を見ると、大将は禿げであった。そこから「禿げ礼賛」をしまくった。という話が出てくるのだが、「という冗談はさておき」という文言を補わないと、読めたものじゃない。そういう場面が誰もが一つ出てくるだろう。この筆者は冗談だと思っていない可能性もあるが、こちらは「これはジョークなのだ」と思わないと読めないのである。

 


その補完をしつつ読むと、第1章と第2章と第3章くらいまでは、当たっているなと思った。

結論を言ってしまうと、みんな少し孤独になる時間があったほうが、人生が充実するんじゃないのということに尽きる。「カラオケをみんなで行くのはやめよう。自分が歌いたい歌を一人で歌ったほうがいいじゃないか」「無駄に緊張するくらいなら逃げろ」「三十代にもなって、人脈に頼ろうとするのは、発想自体がさもしい」「オリジナリティは追い求めるな、所詮みんなマネの上に出来ている」

言っていることは正しい。

 


この本の筆者は、この本を書きたくなかったのではないか、というのが最終的に感想だ。

だから、酒を煽って勢いて書いているのではないか。

酔いがいい感じな前半は結構いいことを言っているのだが、後半になるとそれが悪酔いになって、自分でも惨めな気分で書いているように思える。

読んでいると寂しい気分になるのである。

最後、この筆者は自分が孤独だということを訴えているように思えた。別に孤独でも構わないではないか、と私は思う。だが、そこで苦しんでいるような感じが出ている気がするのは私だけだろうか。

 


前半は仕事に絡むことが多く書かれる。皆職場では孤独である。だから、ここでいうことはハマっている。多少孤独なくらいが丁度いい距離感なのだろう。だが、職場を一歩出た人間が孤独だというのは少々寂しい。この筆者はそれを自分で無意識に感じているのかもしれない。そういう哀愁がある。

啓発本(と筆者は思っていないだろうが)を読む際の基本は部分活用だ。いいと思う部分だけを抽出して行うとよい。大抵、啓発本を読んでもいいと思えるのは、一つか二つ。だいたいはありきたりなことを書いてあるだけだ。それに比べれば、読む価値はあるのではないだろうか。

 

 

男が30代でやめるべき習慣 ~賢者たちの一流の教え

男が30代でやめるべき習慣 ~賢者たちの一流の教え