池波正太郎をめざして

読書の栞

日々の読書の記録、感想を書きます。

機動戦士Zガンダム 「day after tomorrow」 カイレポ1&2巻

 

 ことぶきつかさ著のZガンダムのパラレルストーリー。

1,世界観

 Zガンダムの世界をごく簡単に説明すると、「ティターンズv.s.エゥーゴ+カラバの戦い」である。もちろん、話の最後の方になってくると、アクシズというジオン軍の残党が出てきて、三つ巴の戦いになる。しかも、ティターンズエゥーゴ双方の指導者である、ジャミトフとブレックスが死んでしまうことにより、やたらとややこしい話になっていく。富野由悠季という人物が原作・総監督なのであるが、本当に子どもに見せる気があるのかとののしりたくなる複雑な話である。

 かくいう私も、確か中学生のころだったとおもうが、Zガンダムをリアルタイムで見た。同級生と話していても、「まったく話が分かりにくい」という感想が多かったと思う。メールシュトローム作戦など、作戦がわかりにくいという感想も聞いた。本当にその通りだと思う。

 さて、今回の「day after tomorrow」はカイ・シデンを主人公にZガンダムを描いている。カイ自身がZガンダム当時に地球にずっといたために、カラバという組織の周辺を描いた作品だ。ちょっと目次を見てみよう。

2,作品の特徴

1巻

report00:銀狐

report01:ハヤト・コバヤシ

report02:レコア・ロンド

report03:ベルトーチカ・イルマ

report04:ゲーツ・ギャパ

report05:フラウ・コバヤシ

report06:ナミカー・コーネル

report07:シャア・アズナブル前編

report08:シャア・アズナブル後編

2巻

report09:ミライ・ノア

report10:アジス・アジパ

report11:MSK-008・ディジェ

report12:アムロ・レイ

report13:クワトロ・バジーナ

report14:MR.ラコック

report15:ゲーツ・ギャパⅡ

report16:セイラ・マス

report17:カイ・シデン

という目次である。必ずカイが誰かと会って会話をする。Zガンダムの世界を紹介し、しかもカイ自身がカラバの支援をするために画策していくのである。

 モビルスーツの戦闘に主眼が置かれていないというのもこの作品の特徴である。やたら、ビグザムが出てくる絵は圧巻だが、それも戦闘シーンではない。

3,感想

 エゥーゴが宇宙を中心として活動しているのに比べ、カラバは地球を中心に活動している。「機動戦士ガンダム」でホワイトベースのクルーだった人々は、多くが地球にいる。名目上は前大戦で活躍したエリートとして、である。ただ、その多くが閑職に追いやられている。ハヤト・コバヤシ戦争博物館の館長、アムロ・レイは大尉に昇進するも軟禁状態、ブライトは輸送機の館長である。

 この話自体、そういうアムロたちがどのようなシチュエーションにあるかを理解していなければ、ついていけない内容だ。もっと言ってしまえば、前ガンダムの内容が分からないと、深く理解できない。

 ガンダムは真正直に見れば、ホワイトベースのクルーが成長する話である。アムロニュータイプになり、ハヤト・カイも精神的に成長する。ブライトも指揮官として能力が上昇する。人間的にも、他人を信用し、任せられるようになる。

 こう書いていくと、男中心の話であるように思えるだろう。もちろん、男性の視点であるが、思春期の普通の男から見た女性の姿も描かれていると私は思う。女性はこういう部分に注目して見るといい。またこの辺りが宮崎駿作品とまったく違うところだ。宮崎駿作品に出てくる女性は、性別を超えているところがあるが、ガンダムに出てくる作品は非常に生々しい。しかし、あくまで男から見た女性である。

 はっきり書いてしまうと、「特に同年代の女性は男を試している」という描き方がなされている。ミライとフラウ・ボゥが典型である。ミライはたまたま会うことになってしまった、元婚約者とかスレッガーとの仲をブライトに意識させることでブライトを試しているとも言える。もちろんわざとではない。無意識なのであるが、ブライトからすればそういう風に感じても不思議ではない。そう見えるのよね、ああいう年代の男から見れば。

 フラウ・ボゥは最悪だ。戦争に参加してからは、散々アムロを駆り立てて戦わせ、ニュータイプというちょっと理解しがたい存在になると、さっさと捨ててハヤトとくっつく。自分への気持ちを確認する作業をする場面もある。

 他の女性もそうである。アムロの自分にあこがれる気持ちを知りながらも、笑顔でアムロを利用するようなことをしているマチルダ。戦争が一段落したら、他の男と結婚するはずだった。権力を牛耳れそうになったときに、人目も気にせずに兄を殺すキシリア。男から見た女の人の怖さが満載なのである。だから、逆に男に利用され尽くされるララァの悲劇性が際立つのであるが。

 言っておくが、女性からすれば、男だって怖いものだろう。異性というのは怖いものである。特に若い頃はそうだろう。慣れていないのだから。

 

 その男視点の身勝手に見える女性たちのその後というのがこの作品に出ていて面白い。

 フラウ・ボゥはハヤトと結婚し、子どもを作ろうという話になる。ミライもブライトと結婚し、二児をもうける。ただ、セイラ・アムロというニュータイプ二人は自分の殻に閉じこもり、アムロはそこから脱出しようという段階だ。

 そんな人々とカイがどのように接していくのかというのが面白い。カイ自身はジャーナリストだからか、インタビューのときに、相手の心のひだをかき分け一番奥にある部分に触れようとする。もちろん、シャアは後に政治家になるような人物だから韜晦する。ミライは禅問答のような答えを出す。フラウはわけのわからないことを考えていたりする。その人となりが出てしまうところが、この作品の一番面白いところだ。

 

 ただ、作品の性質上、吹き出しがやたらと多くなってしまうのが難点である。

 

 

 

機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー カイ・シデンのレポートより (2)

機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー カイ・シデンのレポートより (2)

 

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ