池波正太郎をめざして

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読書の栞

日々の読書の記録、感想を書きます。

箱根の坂(上)

雑記 小説-司馬遼太郎

 

 司馬遼太郎原作の「箱根の坂」を読んだ。

 主人公は北条早雲だ。ただ、本書で早雲を名乗るのはわりと後半だ。

 

1,あらすじ

 物語は京都宇治の山奥、田原郷から始まる。

 この地で「若厄介」と馬鹿にされる山中小次郎が千萱と呼ばれる乙女を京都まで送ることになった。同行者は荒木兵庫である。千萱は小次郎に自分を負ぶうように命じる。なんだか小次郎は千萱に逆らえない。

 京都では応仁の乱が始まっていた。至る所で、足軽の戦闘が行われている。戦を避けるために、一行は鳥辺野に住む願阿弥に援助を頼む。願阿弥は時宗の聖(寺を持たない僧)であった。

 願阿弥の援助もあって、小次郎たちは千萱を無事に目的地に届ける。目的地にいたのは、伊勢新九郎、のちの北条早雲であった。新九郎は千萱と兄妹であるとなっていたが、本当にそうであるかは怪しかった。後に千萱は今川義忠の女となり、今川氏の領地、駿河へと下向する。

 

 というのがあらすじである。

 

2,感想

 この本を再度読みたくなったのは、富樫倫太郎の「北条早雲」を読んだからである。なんだか司馬遼太郎の「北条早雲」が懐かしくなったのだ。二つの作品のもっとも大きな違いは年齢である。京都にいるあたりで、司馬版は三〇代半ば、富樫版はもっと若い設定になっている。そして、願阿弥たちが施粥をするところが富樫版は新九郎自身がやったことになっている。

 司馬遼太郎の文章の魅力は本筋を補強する情報の豊かさにある。それを拾ってゆくと、その時代に生きている感じがするのである。

 たとえば、葬式を始めたのが時宗である。時宗一遍上人生存時と入滅後で教団の質が様変わりをした。礼儀について、食事について。婚姻について。様々な情報が盛り込まれている。それだけを読んでも、そうか、そうか、と頭が良くなった気になるのである。それが気持ちが良い。

 また新九郎自身の性格も、悠揚としていて気持ちが良い。富樫版だと、ちょっと追い込まれすぎである。サスペンス性を重視しすぎるのである。

 実際に早雲の年齢にはいくつか説があるが、物語としては、この晩成の設定のほうが良い気がする。

 中巻では、駿河での活躍を描く。

 

新装版 箱根の坂(上) (講談社文庫)

新装版 箱根の坂(上) (講談社文庫)

 

 

 

新装版 箱根の坂(中) (講談社文庫)

新装版 箱根の坂(中) (講談社文庫)

 

 

 

新装版 箱根の坂(下) (講談社文庫)

新装版 箱根の坂(下) (講談社文庫)

 

 

 

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