池波正太郎をめざして

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読書の栞

日々の読書の記録、感想を書きます。

北条早雲 相模侵攻篇

雑記 小説

 

 作者は富樫倫太郎

 

 北条早雲という人物は脂っこい野心家の一面と、善政を敷く徳の高い人物の二面性がある人物だ。司馬遼太郎がそれを「教師」というキーワードに書いていて、それが実におもしろかった。

 富樫は「徳の高い人物」の面を最大限に表に出して本書を書いている。以下は本書を元に話をすすめる。早雲とは謎の多い人物であり、まだ人物が確定はしていないのである。「早雲」も「北条」も死後についた俗名であり、生前は「伊勢宗瑞」を名乗っていた。生年も確定しておらず、一四三二年説と一四五六年説に分れる。本書は従来の「遅咲きの武将」ではなく、五六年説を取る。以下は早雲で統一する。

 この巻の始まりは、北伊豆攻略直後だ。その前に今川家に借り受けた興国寺城でもそうだが、早雲は年貢の割合を「四公六民」にした。周囲の領土が「七公三民」などの公年貢率なので、早雲の領土は破格の低さである。

 しかし、この制度を維持しつつ、周囲の武将からの侵略を抑えるためには、広大な領土が必要となる。北伊豆だけを領土にしていたら、北伊豆すら守れない。このあたりは、ディスカウントショップと事情は一緒だ。破格の値段設定を維持しつつ利益を出すには、多くの店舗が必要になる。薄利多売である。

 

 本書の時期、興国寺城と北伊豆だけを領有していた時期は、綱渡りの時期である。その事情から、ついに早雲は小田原城を攻め、相模の西部を領することを決める。

 従来の早雲のやりかたは、「小田原城のなかに、猟をしていた鹿が逃げ込んでしまった。勢子を入れさせてくれ」と言って、内部から崩す戦法をとった。本書の小田原攻めは従来のものとは違う。

 

 「真田丸」が受けた理由はキャラクターの多彩さだけでなく、駆け引きの妙にあると思う。その点、あらゆるものを使って戦っていく、この時期の早雲も同じである。「真田丸がおもしろかった人は絶対に楽しめる本である。

 

 

北条早雲 - 相模侵攻篇

北条早雲 - 相模侵攻篇

 

 

 

新装版 箱根の坂(上) (講談社文庫)
 

 

 

新装版 箱根の坂(中) (講談社文庫)

新装版 箱根の坂(中) (講談社文庫)

 

 

 

新装版 箱根の坂(下) (講談社文庫)

新装版 箱根の坂(下) (講談社文庫)

 

 

 

 

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