池波正太郎をめざして

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読書の栞

日々の読書の記録、感想を書きます。

「空海」高村薫。天才から民間信仰へ。

雑記 エッセイ-空海 小説-高村薫

 

概要

 空海とは平安時代前期の密教僧である。

 四国に生まれた天才は、現在の高知県室戸岬の突端で、星が口に飛び込んでくるという体験をした。高村薫はこの天才の身体に起こった体験が空海の信仰の素になっていると考える。

 後に空海遣唐使として渡海。中国で密教の正式な後継者に選ばれる。師匠である青龍寺の恵果和尚からは「君を待っていた」という主旨の言葉をいわれる。

 修行を終えた空海は、師のすすめもあって、遣唐使としての任期を無視して帰国する。国内で布教をし続けた天才空海は、死語も巨人となり、おそらく訪れたことのないだろう土地まで空海信仰が生まれていた。その信仰の変化には高野聖などの存在が大きく関わる。

 空海の生前の活動に触れつつ、それが死語どのように変化していったか。加えて仏教信仰自体がどう日本に溶け込んでいったかを描く。

感想

 司馬遼太郎が描いた「空海のいる風景」を読んだことがあり、好きであったので、ちょっと物足りない感じがした。が、高村薫の目的がどちらかというと、空海死後の現代に至るまでの変化を描くことにあったことに気づき、おもしろい作品? だと思った。作品と言うより、ルポルタージュなのだろうか。

 天才が感得した悟りの世界は、死後誰にもわからなかったのだろう。最澄延暦寺がその存在を維持していたのに比べ、空海の信仰は世俗化をしていった。高野聖が世俗の者に理解しやすい伝説を作り上げていった。福島県猪苗代湖にまで伝説があるというのがすごい。

 オウム信者空海との違い、ハンセン病患者施設での宗教にも触れている。

 日本は無宗教なのではなくて、宗教の影響力が微弱なのである、ということがよくわかる本であった。

 

空海

空海

 

 

 

 

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